OpenAIChatGPT Atlasを公開したのは去年の10月のこと。同じ月、AtlassianはThe Browser CompanyのDiaを6.1億ドルで買収し、PerplexityはCometの無料版を公開しました。

そして6ヶ月が経った今。もう「AIアシスタントを使おうか?」ではなく、「ブラウザ自体をAIに乗り換えようか?」という時代になりました。

3秒で要約
Chrome時代 → AIブラウザ3強登場 → Atlas vs Comet vs Dia 6ヶ月 → 4月累積データ → 5月の選択

みんなが乗り換えるのには、いったいどんな理由があるの?

「AIブラウザ」は、ChatGPTのようなチャットボットをサイドパネルに組み込んだものではありません。アドレスバー・タブ・読んでいるページ・開いているすべてのタブが、そのままAIのコンテキストになる仕組みです。ページを要約するよう指示しなくても、今見ているものが何かをAIはすでに把握しています。

この違いがなぜ決定的かというと、Adobeが測定したAIエージェントのリテールトラフィックが1年間で4,700%増加しました。 人が検索していたものを、AIが代わりに検索し始めたということです。市場規模も4.5億ドルから2034年には768億ドルへ、年平均32.8%成長が予測されています。

そして4月の段階で定着した3強がこちらです。

  1. ChatGPT Atlas (OpenAI、2025年10月リリース)
    Chromiumベース、macOS優先。「エージェントモード」でChatGPTがユーザーの代わりにフォームを入力してクリックします。Plus・Pro・Businessプランで利用可能。
  2. Perplexity Comet (Perplexity、2025年10月に無料化)
    アドレスバーがそのままAI検索窓。親会社Perplexityは昨年末時点で月間アクティブユーザー4,500万人、累計ダウンロード数6,700万件。
  3. Dia (The Browser Company → Atlassian)
    Arcを作ったチームの後継作。2025年10月にAtlassianが6.1億ドルで買収。「Skills」という自動化セットがコア機能。

じゃあ、Chromeと何が違うの?

Chromeは「検索して → ページに行って → 読んで → 行動する」という流れです。AIブラウザはその4ステップを1ステップに圧縮します。核心的な違いをまとめるとこうなります。

区分Chrome(従来)AIブラウザ(Atlas/Comet/Dia)
アドレスバーURL入力自然言語で質問 → 回答+出典
タブのコンテキストタブはタブにすぎない開いているすべてのタブがAIの作業メモリ
操作の自動化なし(拡張機能で別途対応)エージェントがフォーム・決済・予約を直接実行
メモリ閲覧履歴のみ会話・関心事・過去の作業まで記憶

でも、3つが全部同じというわけではありません。それぞれ異なる方向性を持っています。

特徴ChatGPT AtlasPerplexity CometDia
コアコンセプトエージェント(代わりに作業)スピード(検索・ショッピング・自動化)認知(読んで整理)
得意なこと旅行予約、会議録検索、フォーム入力リサーチ、比較、複数タブ整理長文読解、ノート整理、文章作成
プラットフォームmacOS(Windows準備中)macOS・Windows・iOS・AndroidmacOS・Windows
価格ChatGPT Plus($20)から無料(Pro $20)無料(Pro 近日公開予定)
弱点速度、Tainted Memoriesセキュリティ問題認知の深さはDiaより浅いiOS・Android非対応

速度ベンチマークではCometが圧倒的です。複数のサイトで商品3点をカートに入れるタスクを実行したところ、Atlasは2点しか成功できず、Comet比で8倍も時間がかかりました。 一方、あるユーザーはDiaを使って「3時間かかるリサーチを15分の会話で終わらせた」と報告しています。

セキュリティ注意 — Atlasはリリース直後に「Tainted Memories」脆弱性が発見されました。悪意のあるページがChatGPTの「メモリ」に命令を仕込み、次のセッションでユーザーが気づかないまま実行されるパターンです。 会社のアカウント・決済情報はメモリに保存しないのが安全です。

5月からどう乗り換えればいいの?

1つに絞る必要はありません。作業の種類によって使い分けましょう。

  1. リサーチ・比較・複数タブの整理がメインなら → Comet
    アドレスバーに自然言語で質問すれば出典もついてきます。無料版で十分です。会社でSaaS比較や競合の価格分析をするときに圧倒的な強みを発揮します。
  2. 長文を読んで整理して書くのがメインなら → Dia
    「読んでいるページ」のコンテキストが深いです。文章作成、論文・レポートの分解、Notion・Slackの返信文言整理に強みがあります。
  3. 旅行予約・メール整理・繰り返しクリックがメインなら → Atlas
    エージェントモードで「ここからここまでのフライトを探して」が可能です。ただし、決済直前は必ず人間が確認してください。
  4. 会社のセキュリティが厳しいなら → まずChromeを維持
    Atlasのメモリ脆弱性、エージェントモードの権限範囲など、エンタープライズで解決すべき課題が残っています。1〜2四半期様子を見ても遅くはありません。
実践のヒント — 3つともChromiumベースなので、Chromeのブックマーク・パスワード・拡張機能がそのまま移行できます。「AIブラウザに乗り換える」=「作業環境をゼロから再設定する」ではありません。30分あれば完了します。

さらに深掘りしたい人へ

OpenAI公式 Atlas紹介 リリースの意図とコア機能を直接確認 openai.com

ChatGPT Atlas Wikipedia リリース後に追加された機能とセキュリティ問題まとめ en.wikipedia.org

Perplexity利用統計 Cometの親会社の4月累積指標 businessofapps.com

Best Browser Agents 2025 AIブラウザの市場規模とベンチマーク比較 firecrawl.dev

Dia 2週間使用記 Skillsシステムと認知中心設計の分析 aimaker.substack.com

AI Browser Landscape Q2 2026 Atlas/Comet/Dia/Arc/Brave Leoのマトリクス digitalapplied.com