ビデオ会議が始まるやいなや「OtterBotが参加しました」という通知が出ると、場の雰囲気がちょっと変わりますよね。率直なフィードバックを伝えようとしていた役員が言葉を控え、クライアントが「これ、録音されてるんですか?」と聞いてくる。AIの会議録ツールがどれだけ優れていても、ボットが入った瞬間に信頼ベースの会話が崩れることが多かったんです。

3秒で要約
会議開始 デバイスオーディオ自動キャプチャ メモ帳にキーワードを入力 会議が終わったらAIがノート完成 Slack・Notion・CRMへ共有

これは何?

GranolaはAIノートテイカー(note-taker)で、2024年にロンドンで生まれました。仕組みはシンプルです — ボットが会議に入ってきません。 デスクトップアプリがデバイスのスピーカーとマイクのオーディオを直接キャプチャするので、参加者リストに見慣れない名前が表示されることはありません。

2025年5月にシリーズBで4,300万ドルを調達し、企業価値2億5,000万ドルを達成しました。 VercelのGuillermo Rauch、ReplitのAmjad Masad、ShopifyのTobias Lutkeなどテックリーダーがエンジェル投資家として参加しています。累計調達額6,700万ドル — ボットなし会議録という市場を投資家が本気で注目しているシグナルです。

仕組みはこうです。メニューバーに常駐し、カレンダーの予定が始まると自動でメモ帳が開きます。会議中にキーワードやメモを書き込めば、会議が終わったあと「Enhance Notes」ボタン1つで、AIがあなたのメモと全録音を組み合わせて構造化されたノートを作ってくれます。自分が書いた部分は黒字、AIが補足した部分はグレー字で色分けされるので、どこが自分の考えでどこがAIなのかが一目でわかります。

$67M
累計調達額
30+
対応言語
29個
内蔵会議テンプレート

それだけではありません。2025年末には「Recipes(レシピ)」という機能が追加されました。再利用可能なAIプロンプトテンプレートです。 たとえば「Coach Me」レシピを使うと、AIが会議でどれだけ自分が発言したか、オープンな質問を投げかけたか、どう改善できるかをフィードバックしてくれます。営業コールの分析、顧客インタビューの要約、1on1のアクションアイテム抽出など、用途別のレシピを積み重ねることができます。

2026年2月には、MCP(Model Context Protocol)との統合も実現しました。 ClaudeChatGPTで「直近3回の顧客ミーティングで出た主な反対意見をまとめて」と聞けば、GranolaがミーティングのコンテキストをAIに直接渡してくれます。会議録をコピペする手間がなくなったんです。

ボットがいないからといって、こっそり録音していいわけではありません

日本では会話当事者の一方が同意していれば録音は原則として違法ではありませんが、米国の一部の州(カリフォルニアなど)では全参加者の同意が必要です。Granolaはあくまでツールであり、録音を告知するかどうかはご自身の判断です。チーム内のガイドラインを事前に決めておくことをお勧めします。

何が変わるのか?

AIの会議録ツールは大きく2つの陣営に分かれます。ボットを送り込むツール(Otter、Fireflies、Fathom)と、ボットなしで動くツール(Granola、Jamie、Bluedot)です。主な違いをまとめるとこうなります。

ボット型(Otter、Fireflies) ボット不使用型(Granola)
会議参加方式 ボットが参加者として入室(通知あり) デバイスオーディオを直接キャプチャ(誰にも知られない)
プライバシー 参加者全員が録音を認知 使用者のみ認知(告知するかどうかは選択制)
会話の自然さ ボットの存在で緊張感が生まれる場合あり いつも通り自然な会話
プラットフォーム互換 特定プラットフォームのみ対応の場合あり Zoom、Meet、Teams、Webex、Slack Huddlesなどすべてに対応
オフライン/対面会議 非対応 iOSアプリで対面会議も録音可能
録音/再生 音声・映像の再生が可能 テキストベースのみ(音声再生不可)
話者識別 正確な話者識別 3人以上の会議では精度が低い

ボット不使用型の中でも違いがあります。Granolaと競合する主なツールを比較するとこうなります。

ツール 方式 価格 特徴
Granola デバイスオーディオ $14/月 MCP統合、Recipes、シンプルなメモ帳UX
Jamie デバイスオーディオ $24/月 ドイツ製、GDPR対応強み、要約品質高め
Bluedot Chrome拡張/デスクトップ $18/月 画面録画対応、精度高め
Krisp デバイスオーディオ $8/月 ノイズキャンセリングの先駆け、オンデバイス処理
Fellow ボット不使用モード対応 $7/月 Wirecutter推薦、会議管理オールインワン

Granolaの最大の強みは「メモ帳」アプローチにあります。他のツールが文字起こし全体をそのまま出力するのに対し、Granolaは自分のメモをAIが補強する形なので、結果がずっとコンパクトで実行しやすい形になります。 会議が終わって60秒でノートのレビューが完了するというユーザーの声もあります。

始め方のポイント

  1. アプリをダウンロード
    granola.aiからMacまたはWindowsアプリをダウンロードします。メニューバーにGranolaのアイコンが表示されたらインストール完了です。
  2. カレンダーを連携
    Google CalendarまたはOutlookを連携します。カレンダーの予定を自動検知し、会議が始まるとメモ帳が自動で開きます。
  3. 最初の会議を進める
    いつも通り会議をしながら、キーワード・重要ポイント・思いついたことをメモ帳に自由に書き込みます。書かなくてもAIが整理してくれますが、書くとより精度の高い結果が得られます。
  4. Enhance Notesでノートを完成させる
    会議が終わったら「Enhance Notes」をクリック。10〜30秒後に構造化されたノートが完成します。テンプレート(顧客インタビュー、営業コール、1on1など)を事前に設定しておけば、希望のフォーマットで出力されます。
  5. 共有・連携
    ノートをSlackチャンネルへ共有したり、Notionにエクスポートしたり、HubSpot・AttioなどのCRMに自動連携することができます。Zapierを通じて8,000以上のアプリとの連携も可能です。

無料プランに注意

無料プランは生涯25回の会議までです(月25回ではありません)。 実質的に体験版なので、試してみてから合うようであればBusinessプラン($14/月)への移行をお勧めします。Enterprise($35/月)ではSSO、APIアクセス、AIトレーニングデータのオプトアウトが追加されます。