Claude Codeを使っている開発者なら、一度はこんなことを思ったはずです。「もっと体系的に使えないかな?」Y Combinator CEOのGarry Tanが、その答えをオープンソースで出しました。名前はgstack。 GitHubに公開されてから2週間で、星4万5千個を超えました。

3秒で要約
Claude Codeカスタムコマンド28個 役割別の専門家システム Think → Plan → Build → Review → Test → Ship → Reflect

これは何?

gstackはClaude Code用カスタムスラッシュコマンド(slash command)の集まりです。核心のアイデアはシンプルです。AIに「コードを書いて」と言うのではなく、「あなたは今QAリードです」あるいは「あなたはシニアデザイナーです」と役割を与えるんです。

全部で28個のスキルがあり、それぞれが特定の専門家の役割にマッピングされています。CEOが製品の方向性をレビューし、エンジニアリングマネージャーがアーキテクチャを固め、デザイナーがAIスロップ(slop)を検出し、QAが実際のブラウザを開いてテストし、リリースエンジニアがPRを上げる——そんな流れです。

45.8K+
GitHub Stars
28個
カスタムスキル
60万+ LOC
60日間の生産量(Tan基準)

インストールも30秒で完了です。Git cloneを1行実行するだけ。 すべてのスキルはマークダウンファイルなので誰でも読んで修正できますし、SaaS依存やテレメトリもありません。MITライセンスです。

何が変わるのか?

普通のAIコーディングツールの使い方はこうです。プロンプトを投げてAIが答え、その結果を人間が判断する。問題は、一つのAIセッションが自分で書いたコードを自分でレビューする「自己確認バイアス(self-affirmation spiral)」が生まれることです。

gstackはこの構造を壊します。各ステップで異なる「専門家」が投入されるため、前のステップの結果を次のステップが独立して検証します。

ステップ 主なスキル 役割
企画 /office-hours, /plan-ceo-review YCオフィスアワー形式の6つの質問で前提を揺さぶる
設計 /plan-eng-review, /plan-design-review アーキテクチャの確定、デザイン0〜10点評価
開発 /review, /investigate スタッフエンジニアレベルのコードレビュー、体系的なデバッグ
テスト /qa, /cso 実ブラウザQA、OWASP Top 10 + STRIDEセキュリティ監査
デプロイ /ship, /land-and-deploy PR作成から本番ヘルスチェックまで1コマンド
振り返り /retro 週次振り返り、プロジェクト別デプロイ追跡

特に注目なのが/browseスキルです。Claude Codeに実際のChromiumブラウザを接続して、クリックやスクリーンショット撮影のブラウザ自動化をサポートします。 コールドスタートが3〜5秒、それ以降はコマンドあたり100〜200msとのこと。クッキーとログイン状態がセッション間で維持されるため、認証が必要なテストも可能です。

そして/codexスキルはOpenAI Codex CLIを呼び出して「セカンドオピニオン」をもらいます。 Claudeが書いたコードを競合モデルがレビューする構造です。クロスモデル分析という発想自体が面白いですね。

This is my open source software factory. I use it every day. I'm sharing it because these tools should be available to everyone.

— Garry Tan, Y Combinator CEO

賛否両論もある

反応はすべてポジティブというわけではありません。TechCrunchが「so much love, and hate」と表現するほど意見が分かれました。

批判の核心は2点です。1つ目は、多くの開発者がすでに似たようなプロンプトセットを自作して使っていたということです。gstackが技術的に特別に優れているわけではなく、YC CEOという立場のせいで過剰な注目を集めた、という見方があります。

2つ目は安全性への懸念です。Hacker Newsでは、ある開発者が共有した事例が印象的でした。Claude Codeエージェントが70分間、ステージングURLを本番設定に繰り返し注入し続けても、終了コードは正常だったというものです。 自律エージェントのスピードが速いほど、安全策がより重要だという教訓です。

注意:自律エージェントの両刃の剣

gstackには/careful/freeze/guardといった安全スキルも用意されていますが、本番環境では別途の監査レイヤーを設けるのが安全です。スピードとコントロールのバランスを常に意識してください。

始め方のポイント

  1. Claude Codeがインストール済みか確認してください
    gstackはClaude Codeの上で動作します。Anthropicのサブスクリプションが必要です。Bun v1.0+とGitも必要です。
  2. 30秒インストールを実行してください
    git clone https://github.com/garrytan/gstack.git ~/.claude/skills/gstack && cd ~/.claude/skills/gstack &&./setup — この1行で完了です。
  3. まず/office-hoursから始めてください
    いきなりコードを書くのではなく、6つの強制的な質問で「この機能を本当に作るべきか」を先に確認するのがgstackの哲学です。
  4. 全部使う必要はありません
    28個のスキルをすべて使う必要はありません。/review/qaだけ試してみても、コード品質が変わるはずです。自分のワークフローに合うものだけ選んで使いましょう。
  5. カスタマイズしてください
    すべてのスキルはマークダウンファイルです。自分のチームのコンベンション、技術スタック、レビュー基準に合わせて修正するのが本当の活用法です。そのまま使うだけでは半分です。

ポイント

gstackの本当の価値は28個のコマンド自体にあるのではありません。「AIを汎用アシスタントではなく役割別の専門家として分けると結果が変わる」というパターンです。このパターンはコーディングだけでなく、コンテンツ制作、データ分析、カスタマーサポートなど、あらゆる場面に応用できます。