先月、世界のベンチャー資金は1,890億ドルでした。
そのうち1,100億ドル、つまり58%がOpenAI一社に流れたんです。
これでも「分散投資」と呼べるのでしょうか。
みんな「バブルだ」と言うけれど、データは違う話をしています
「AIバブルだ」「もうすぐ弾ける」——最近、一度は耳にしたことがあるはずです。でも実際の成果データを見てみると、話が少し違ってくるんです。
キャップテーブル管理プラットフォームのCartaが、自社プラットフォームに登録されたスタートアップの2025年の資金調達データを分析したところ、AIスタートアップが1,280億ドルのベンチャー資金のうち41%を獲得していました。過去最高の比率です。上位10%のスタートアップが全体の資金調達の半分を占めていました。
普通、こうした偏りの話が出ると「じゃあもうすぐ崩れるね」という流れになりがちですが、Cartaのインサイト担当ディレクターPeter Walkerの説明は違います。ChatGPTのローンチ(2022年末)以降に組成された若いファンドほど、IRR(内部収益率)が力強いスタートを切っているというんです。
「AIスタートアップが大型ラウンドを獲得しているのは、従業員が多いからではありません。AIモデルを動かすコスト自体が高いからです。だからラウンド数は減ったのに、1ラウンドあたりの資本は増えているんです。」
— Peter Walker, Carta インサイト担当ディレクター
実際、PitchBookの集計を見ると、ベンチャー資金全体に占めるAIの割合(直近12ヶ月ベース)は2020年第3四半期の23%から2024年第3四半期には40%、そして今は63%まで上昇しています。3年で比率がほぼ3倍に跳ね上がったわけです。
でもこの賭け金、4社に集中しています
「良い成績表」をもう一枚めくってみると、また違う景色が見えてきます。
2月の1ヶ月間で、OpenAIが1,100億ドル規模のラウンドを獲得しました。史上最大級の民間ラウンドの一つです。同じ月、Anthropicは300億ドルのシリーズGを3,800億ドルのバリュエーションでクローズしました。1月にはxAIが200億ドルのシリーズEを獲得しています。Q1ベースでは、OpenAI・Anthropic・xAI・Waymoの4社でベンチャー資金全体の65%を占めたという集計もあります。
投資リサーチメディアのAngel Investors Networkは、この現象を鋭く指摘しています。
「2026年上半期のVC資産は、もはや多角化された投資対象ではない。『分散ファンド』という名を借りた、AIインフラへの集中ベットだ。」
— Angel Investors Network
OpenAIとAnthropicの2社だけで、上半期のベンチャー資金全体の43%、2,170億ドルを獲得したという集計もあります。ファンドの名前は「Growth Fund」「Tech Ventures」「Strategic Fund」とバラバラでも、その先のサーバーは結局のところ、数えるほどしかないデータセンターにつながっているわけです。
この偏りは、AIかそうでないかによってまったく別のゲームを生み出しています。シード段階の中央値バリュエーションを見るだけでも、AIスタートアップは1,790万ドル、非AIは1,260万ドルと、42%の差があります。
| 指標 | AIスタートアップ | 非AI(ロボティクス基準) |
|---|---|---|
| シード中央値バリュエーション | 1,790万ドル | 1,260万ドル |
| ARRバリュエーション倍率 | 100倍以上 | 8〜12倍 |
| 平均exit所要期間 | 4〜6年 | 8〜10年 |
表だけを見るとAIが圧倒的に有利に見えますが、実はこの表が伝えているのは「AIが有利」ということではなく、「AIと非AIはまったく違うルールで動いている」ということなんです。バリュエーションは低くても持分の希薄化が少なく、exitまで時間がかかる代わりに資本をあまり燃やさない構造だということです。
韓国も例外ではありません。今年上半期、国内で100億ウォン以上の投資141件が全体の投資額の93%を占め、シードラウンドの91.5%がAI・ロボティクスに集中しました。ベンチャー情報会社のThe VCは、「資金がすべての企業に均等に供給されているのではなく、大型ディールとAI・ロボティクス中心に選別的な投資姿勢が強まっている」と指摘しています。
注意
IRR・成績表が良くなったからといって、実際に口座にお金が振り込まれたわけではありません。最近のベンチャー市場の回復分の大半は帳簿上の評価益(未実現価値)で、実際の現金分配(DPI)は依然として弱いままです。ベンチャー市場の専門家たちは、今の状況を「バリュエーションの問題ではなく、現金化(realization)の問題」と表現しています。
で、今何をチェックすればいいの?
- まずAIプレミアムを認識する
シード段階でもAIというラベルが付くと、42%高いバリュエーションで取引されます。非AIとしてポジショニングするなら、アルゴリズムの革新ではなく、独自データセットや規制上の参入障壁のように、AIが複製できないものを代替指標として用意しましょう。 - マイルストーン基準で資本を分割する
転換社債やバリュエーションキャップを活用して、技術・商業マイルストーンを達成したときだけ追加資本が入る仕組みを設計しましょう。ハードウェア事業なら特に必須です。 - ディールソーシングのネットワークから変える
公開プラットフォームよりも、スタンフォード・MIT・CMUのような研究室ネットワークや、ロッキード・マーティン、ボーイング、シーメンスのような大企業のスピンアウトラインの方が、非AIのディールソーシングにはるかに効果的です。 - 資本効率の数字で証明する
グロスマージン60%以上、CAC回収18ヶ月以内、NRR100%以上——この3つの数字が「AIほど資本を燃やさなくても成長できる」ことの証拠になります。実際、ロボティクスや国防自動化の分野では、総資本1,500万ドルで売上1,000万ドルに到達した事例もあります。 - 自分のエクスポージャーをまず点検する
スタートアップに勤めている、あるいは個人投資家であれば、自分が持っている持分・ファンドがインフラへのエクスポージャーなのか、アプリケーションへのエクスポージャーなのかをまず見極めましょう。「ラベルではなく実際のエクスポージャー」を問うことが第一歩です。
もっと深く知りたい方へ
元記事 Cartaのデータをもとに、AIスタートアップへのベンチャー資金の集中とリターンを扱ったTechCrunchの原文記事 techcrunch.com
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