コールセンターにAIを導入する理由は、ほぼ一つです — 対応する人の数を減らすこと。
でも今回3,000万ドルのシリーズAを調達したスタートアップは、真逆のことをやりました。「どうすれば通話を減らせるか」ではなく「どの会話が成約につながったか」から掘り下げたんです。
みんなこう思ってますよね
今出回っているAIサポート・CSエージェントのほとんどは、「問い合わせをいかに早く、人を介さず処理するか」がKPIになっています。チャットボットや音声AIは、すでに問い合わせの最大40%を処理しているというデータもあります。 ガートナーは2029年までに、エージェンティックAIが日常的なサービス問い合わせの80%を自律的に処理し、運用コストを30%削減すると予測しています。
この通念の中でAIは人を介さないための装置なんです。成果指標も、解決時間の短縮や処理件数といったコスト側の数字がほとんどです。
でも数字は真逆でした
テルアビブ大学で幾何学的深層学習の博士号を取得し、マイクロソフトでレコメンドシステムを研究していたDvir Ginzburg博士が2022年に立ち上げたEncore AI(旧社名Insait)は、この方程式をひっくり返しました。 CEOはこう言い切っています。「今日のエンタープライズAI業界はコスト削減に最適化されています。Encoreは逆側のために作られました」。 多くのAIエージェントが通話を減らし人との接触を減らすよう設計されているのに対し、Encore AIは売上創出に焦点を当てたと説明しています。
その手法が、特許取得済みのインタラクションマイニング(Interaction Mining)です。通話録音、メール、テキスト、CRMデータ、ランディングページの記録まで数百万件を集めて会話を段階ごとに分解し、どの行動が実際に商談を前に進めたのかを特定します。 組織のトップパフォーマーが繰り返し行う行動を抽出し、リアルタイムで支援する「Wingman」か、完全自律型の「Autopilot」として展開する仕組みです。
このアプローチが機能している兆候は数字にも表れています。シード調達から18か月でARR(年間経常収益)が5倍以上に伸びました。 ある融資会社の顧客は数か月で投資対効果10倍を記録したと同社は発表しています。 今回のラウンドはTeam8が主導し、Planven・The Gardenが参加しましたが、興味深いのは投資家の一部がもともと顧客だった銀行・保険会社だという点です — 使ってみてから出資を決めたわけです。
なぜ金融業界から広がったのか
Encore AIの40社以上の企業顧客のうち、大半が金融機関です。 一見、規制が最も厳しい業界から攻めるのは逆説的に見えますが、実はそれこそが参入障壁として機能しました。
規制産業はコンプライアンスのハードルのせいで、大半のAIスタートアップが簡単には入れません。金融サービスがこのアプローチの先行業界になったのは、厳しい規制要件に加えて、住宅ローンの相談中にリフォームの話が出たり、法人顧客がキャッシュフローについて尋ねたりと、隠れた売上機会が頻繁に会話をよぎるからでもあります。 実際にある金融機関の顧客は20万件の通話を処理し、コンバージョン率81%増、1,300時間の削減を実現したと同社は公表しています。 同社によれば、導入は数週間で可能だといい、これは数か月かかることが多い従来のエンタープライズAI導入とは対照的です。
自分のチームで試してみるには
Encore AIを使わなくても、「インタラクションマイニング」の考え方自体は今すぐ借りてこられます。
- 成約した会話と失注した会話を集める
直近3か月分の成約・失注の通話やメールをそれぞれ20件ずつ集めるだけでも始められます。 - 段階ごとに分けてタグ付けする
導入部・ニーズ把握・反論処理・クロージングのように会話を区切り、成約したケースだけで繰り返される言葉やタイミングを印付けします。 - まずはリアルタイム支援から始める
完全自動化よりも、担当者の横でヒントを出す方式のほうがリスクが低いです。「このタイミングではこの質問が効果的だった」というスクリプトカードから試してみましょう。 - 売上指標で測定する
処理時間や解決率のようなコスト指標の代わりに、このアプローチを適用したグループと適用していないグループのコンバージョン率・客単価を比較します。 - 規制・コンプライアンスを最初に確認する
通話録音や顧客データをAI学習に使うことは、業種ごとに同意・保管のルールが異なります。パイロット導入の前に必ず法務チームに確認してください。
もっと詳しく知りたいなら
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Encore AI raises $30 million Series A to teach AI agents how top employees work 創業者Dvir Ginzburg氏の経歴とインタラクションマイニング技術の詳細インタビュー calcalistech.com
Encore AI公式サイト Wingman・Autopilotの2モードと業界別の顧客事例がまとまっています gainencore.ai
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