タイピングキーボードでコードを数個押すだけで、AIが残りを完成させてくれます。
でも、これをデモしたSuno Studioのプロダクトマネージャー本人が、乱れたMIDIノートを手で直していた途中で手を止め、「これもチャットボットに任せればよかった」と認めたんです。
BGM一つ作るのに、まだこんなことしてますか?
マーケティング動画やコンテンツに使うBGM、いざ探そうとすると意外と面倒なんですよね。無料のロイヤリティフリー音源は他の人と被ってる感じがするし、作曲家に頼めば修正のやり取りだけで何日もかかります。
テキストプロンプト型のAI音楽ツールがその隙間をある程度埋めてくれましたが、ここにも限界がありました。「落ち着いたローファイビート作って」と入力すれば曲は出てきますが、気に入らない部分があっても細かく手直しする方法がなかったんです。結果を丸ごと作り直すしかありませんでした。
Suno StudioのプロダクトマネージャーHenry Phippsさんは、この点をこう指摘しています。「テキストプロンプトはインスピレーションを見つけるにはいいけど、MIDIキーボードで演奏したりマイクに向かって歌ったりすることを完全に代替はできないんです」
Sunoが今回、本気でDAWに近づいてきた
そうして出てきたのがSuno Studio 2.0です。2026年8月13日、Premier登録者向けに公開されました。
一番大きな変化はMIDI対応です。タイムライン上でMIDIを直接インポート・録音・編集でき、コントローラーがなくてもタイピングキーボードでノートを演奏できます。音源は2オシレーター構成、エンベロープ3基・LFO4基のシンプルなウェーブテーブルシンセです。
本当の核心は、このMIDIそのものをAI生成の入力(プロンプト)として使えるところなんです。コード進行やメロディを演奏しておけば、それをオーディオとしてレンダリングしたり、メロディを延長したり、新しいBパートを書いてもらったりできます。
テキストプロンプトはインスピレーションを見つけるにはいいけど、MIDIキーボードで演奏したりマイクに向かって歌ったりすることを完全に代替はできないんです。
— Henry Phipps、Suno Studioプロダクトマネージャー
さらにトラックオートメーション(音量・パンの時間経過による調整)と、セッションに連動したAIチャットバーも追加されました。このチャットバーは今作業中のプロジェクトの文脈を理解していて、「このボーカルトラックをもっと良くして」と頼めば、リバーブ・コンプレッション・EQを自動で加えてくれます。ディストーション・ディレイ・リバーブ・コンプレッション・EQといった基本エフェクトも標準搭載されました。
一番ユニークな機能はカスタムエフェクトプラグインです。チャットに欲しい質感を説明すれば、エフェクトをゼロから作ってくれます。デモではロータリーキャビネットのトレモロエフェクトがその場で作られていました。作ったプラグインはアカウントに保存され、別のプロジェクトでも再利用できます。
| テキストプロンプト型AI音楽 | Suno Studio 2.0 | |
|---|---|---|
| 入力 | 文章での説明 | 実際に演奏したMIDI(コード・メロディ) |
| 修正の仕方 | 結果を丸ごと再生成 | トラックごとに編集・エフェクト・オートメーション |
| 感覚 | ガチャに近い | プロデュースに近い |
でも、気になる点が2つあります
1つ目、サードパーティプラグイン(VST)にはまだ対応していません。普段使っているシンセエミュレーションは持ち込めず、Suno独自のシンセしか使えないんです。つまり「完全なDAWの代替」というより、演奏したMIDIをAI生成の素材として使うツールに近いということですね。
2つ目、デモ自体が少し引っかかる場面を見せました。Phippsさんはデモ中、乱れたMIDIノートを手で整え、クオンタイズしていた途中で、これもチャットボットに任せればよかったと自ら認めています。ボーカルチェーンの選択も自分で決めず、AIに任せていました。ツールが賢くなるほど、人が手を動かす範囲はむしろ狭くなっていくということかもしれません。
商用利用するなら著作権もチェックを
SunoはBMG(8月12日締結)とWarner Music Groupの2社とグローバルライセンス契約を結んでいます。ただしUniversal Music GroupとSony Musicは米国で依然として訴訟を進めており、ドイツのGEMAとデンマークのKodaも法的措置を取っている状態です。マーケティングコンテンツに商用利用する予定なら、最新の利用規約は自分で一度確認しておくのが安全です。
今すぐ試せる使い方
- Premier登録を確認
Studio 2.0はPremierプラン($24~30/月)でのみ利用可能です。Free・Proプランは対象外です。 - まずメロディを演奏
MIDIコントローラーがなければ、タイピングキーボードでコード進行やメロディを入力できます。 - チャットバーに方向性だけ伝える
「このボーカルをもっと温かく」「80年代シンセポップ風に」といった自然言語の指示で仕上げられます。 - 必要ならエフェクトを新規作成
欲しい質感を言葉で説明すればカスタムプラグインが作られ、アカウントに保存されて次のプロジェクトでも使えます。 - オートメーションで仕上げて書き出し
音量・パンを時間経過で調整した後、32bit/48kHzのステムで書き出します。ダウンロード無制限のポリシーは9月3日から適用されます。
もっと詳しく知りたいなら
Suno公式のStudio 2.0リリースノート 全機能の公式説明と今後のロードマップが確認できます。suno.com
MusicRadarのチャットバー・カスタムプラグインレビュー カスタムエフェクトのデモと実使用視点の分析が載っています。musicradar.com
Unite.AIのMIDIプロンプト分析 MIDIがどうAI生成の入力になるのか技術的に解説しています。unite.ai
Music Business Worldwideの価格・著作権分析 料金プラン別の価格と、UMG・Sonyの訴訟など業界背景まで扱っています。musicbusinessworldwide.com
Gearnewsの技術レビュー シンセのスペックやオートメーションなど、制作視点の詳細機能を扱っています。gearnews.com
Music Weekの業界反応まとめ BMGライセンス契約直後というタイミングにも触れています。musicweek.com




